【2023年度学術賞】(2 件)
1. 小泉 望(大阪公立大学)
「植物の小胞体ストレス応答の分子機構の解明と植物バイオテクノロジーの社会実装のための学術的貢献」
小胞体で起るタンパク質のフォールディング異常を核へ伝えシャペロン等の遺伝子発現誘導に至る細胞応答を小胞体ストレス応答と呼ぶ。植物では小胞体膜に局在するIRE1を介した細胞質スプライシングにより転写因子bZIP60が活性化される。IRE1は小胞体で合成されるタンパク質のmRNAを分解することでも小胞体への負荷の軽減に働く。一連の研究から派生的に見つけた植物由来選抜マーカー系が社会実装に至らなかったことなどをきっかけに、植物バイオテクノロジーに関する社会への説明を行ってきた。
2. 山崎 真巳(千葉大学)
「薬用植物の統合オミクスによるアルカロイド生合成メカニズムの分子進化解明」
植物はなぜ「くすり」となるような物質を生産するのか、これらの二次代謝の多様性のしくみとそれらがどのように出現したか。これらの分子基盤を1990年代の分子生物学、2000年以降の統合オミクス科学、2020年代のインハウスゲノム科学の潮流の中で解明してきた。