【2023年度学生奨励賞】(2 件)
1. 中里 一星(東京大学)
「シロイヌナズナのオルガネラゲノムの標的一塩基置換」
葉緑体やミトコンドリアが持つゲノム (オルガネラゲノム) 上の標的C:G対がT:A対に、細胞当たり最大数千個ある葉緑体ゲノムや数十から百個ほどあるミトコンドリアゲノムの全てで置換された、モデル植物シロイヌナズナの植物体の作出に成功した。また、標的領域外に生じたエラー塩基置換が全体的に少ないことや、導入した塩基置換が子孫に安定遺伝することも確認された。本手法は、オルガネラゲノムの基礎研究の高速化や、オルガネラゲノムを利用した作物育種の実現に寄与し得る。
2. 松田 陽菜子(京都大学)
「ダイズイソフラボンの根外への分泌と根圏での蓄積に関する研究」
ダイズ根圏においてイソフラボンは、根粒菌と共生関係を構築する上でのシグナルとしての役割や、細菌叢形成への関与が知られる。しかし、ダイズがイソフラボンをどのように根圏に分泌しているかは十分に明らかにされていなかった。本研究の特徴は、ダイズ根におけるイソフラボン生合成の日周性を明らかにした上で、日周性という観点からイソフラボン分泌関連酵素を探索した点、及び、実験室と圃場の両方のデータにより分泌関連酵素の機能を示した点にある。