MEETING 大会情報

第38回日本植物バイオテクノロジー学会大会・シンポジウム

お知らせ

第38回日本植物バイオテクノロジー学会(つくば[オンライン])大会・シンポジウムを下記の通り、開催いたしました。

1.会期

2021年9月9日(木)~11日(土)

2.会場

オンライン

3.大会実行委員長

江面 浩(筑波大学)

4.タイムテーブル

>>日程・プログラム(PDF:423KB)

5.一般講演

>>口頭発表(PDF:762KB)

6.シンポジウム

シンポジウム 1) 「食の未来を拓く革新的先端技術の創出」

オーガナイザー:日本植物バイオテクノロジー学会・産学官連携委員会
代表者:加藤晃(奈良先端科学技術大学院大学)

『食』に関わる社会的課題として、地球の人口増加や気候変動による食料不足、農業就業者の高齢化と後継者の不足が挙げられる。SDGs; Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)では「飢餓をゼロに」、「すべての人に健康と福祉を」という目標が掲げられており、食の課題解決はもはや人類の命題であり、そこに科学が介入する必然性も存在する。本シンポジウムでは特に植物を中心とした有用素材開発、農業の省力化技術、機能性植物の開発を産学協働で実施するJST-OPERA食と先端技術共創コンソーシアムの取組みを紹介する。

「食と先端技術共創コンソーシアム概要」
      江面浩(筑波大学:JST-OPERA領域統括)

「課題1:先端技術による品種開発」
      有泉亨(筑波大学)

「課題2:先端技術による生産性向上システム開発」
      福田直也(筑波大学)

「課題 3:先端技術により作出された作物の社会実装の加速」
      後藤英司(千葉大学)

「課題4:新規機能性食品素材の開発」
      寺川輝彦(インプランタイノベーションズ)

「課題5:植物における有用物質の生産」
    三浦謙治(筑波大学)

シンポジウム 2) 「植物バイオテクノロジーとデジタル情報解析が牽引するバイオエコノミー社会の実現」

オーガナイザー:刑部敬史(徳島大学)、本橋令子(静岡大学)、山本英司(明治大学)、矢野健太郎(明治大学)
共催:日本バイオエコノミー学会 
科研費・新学術領域研究「植物の新種誕生原理」
植物インフォマティクス研究会

生物資源を用いた循環型の物質生産系を基盤とするバイオエコノミーは、新たなバイオ産業の創出だけではなく、化石燃料依存型物質生産からの脱却も達成する。その中でも、 光合成植物に由来する化合物や構造物を原料・材料とする物質生産プロセス、 また、植物体を物質生産デバイスとして活用する生産システムの確立と利用は、炭素循環型社会の早期実現に極めて有効な方策として注目されている。そこで、本シンポジウムでは、午前および午後の二部構成により、バイオエコノミーの国際動向を俯瞰すると共に、植物物質生産能を活用する生産プロセス基盤整備の展開に向けた先進的な研究事例を紹介する。午前の部では、バイオエコノミーに寄与する技術開発を推進する演者から、最先端研究を紹介いただき、植物バイオテクノロジーの果たす役割について発展的に議論する。午後の部では、革新的なバイオ産業を創出するためのデータマイニングやオミックス解析、育種戦略などを紹介する。

「バイオエコノミーの背景にあるエネルギー問題」
      柴田大輔(京都大学エネルギー理工学研究所)

「バイオエコノミーに関する国内外の施策について」
      坂元雄二(日本バイオ産業会議[JABEX]事務局)

「植物細胞壁の生分解と生合成を模した循環型もの作り」
      五十嵐圭日子(東京大学)

「農学が支えるバイオエコノミー」
      太田大策(大阪府立大学)

「木質系新規材料の開発によるバイオエコノミーの実践 -大学シーズの社会実装に向けて-」
      高田克彦(秋田県立大学・木材高度加工研究所)

「新規ゲノム編集技術が貢献するバイオエコノミーの未来」
     刑部敬史(徳島大学)

「コムギの育種に向けたデジタル技術の大活用~観測からDB化、生育予測まで」
      孫建強(農研機構)

「バイオエコノミーに資する染色体レベルゲノム情報の提供」
      中村保一(遺伝研・情報研究系)

「オミックス・知識情報整備による植物遺伝資源の高度利用化」
      矢野健太郎(明治大学)

「農業植物ゲノム研究における機械学習の活用」
      大柳一(King Abdullah University of Science and Technology)

「進化過程は設計図~進化的力学から見る植物における形質多様化の原動力」
      赤木剛士(岡山大学)

シンポジウム 3) 「Made in Japan:世界を駆ける日本発のゲノム編集技術開発の最前線」

オーガナイザー:遠藤真咲(農研機構)、野中聡子 (筑波大学)
共催(予定): SIP「精密ゲノム編集コンソーシアム」(内閣府)

ゲノム編集技術は、任意のプロモーター配列や遺伝子配列に変異を導入する技術である。その応用範囲は基礎研究から作物育種まで幅広く、特に作物育種の面からの期待は大きく世界中で注目されている技術である。しかしながら、自由度の高い植物分子デザインのためには、ゲノム編集技術のさらなる高度化が必要な状況であり、現在、世界中の多くの研究者がこの課題に取り組んでいる。日本発の成果も数多くの輩出されており、技術開発の速度は日進月歩である。そこで、本シンポジウムでは、今世界を駆ける日本人研究者によるゲノム編集技術の汎用化、高度化、日本発の新規ゲノム編集技術の開発に向けて最新の研究成果の講演を予定している。

「立体構造に基づく小型で標的範囲の広がったゲノム編集ツールの開発」
      濡木理(東京大学)

「CRISPR-Cas3を用いたゲノム編集の可能性」
      真下知士(東京大学)

「PPR蛋白質を利用したDNA/RNA編集技術の開発」
      中村崇裕(九州大学)

「花粉管を用いたゲノム編集酵素のデリバリーと生殖細胞の遺伝子改変」
      水多陽子(名古屋大学)

「Cas9バリアント、Donor DNA等を用いた植物精密ゲノム編集」
     遠藤真咲(農研機構)

シンポジウム 4) 「植物オルガネラゲノム工学の新展開」

オーガナイザー:有村慎一(東京大学)

光合成と呼吸を司る葉緑体とミトコンドリアは、植物を特徴づける重要代謝の場であるとともに独自のゲノムを有している。これらのオルガネラゲノムは、細胞内で多コピー性をもち、修復機構、遺伝子発現機構、遺伝様式なども核ゲノムとは大きく異なっている。これまで改変が容易ではなかった葉緑体ゲノム、最近まで改変が不可能であった植物ミトコンドリアゲノムは、今後の植物バイオテクノロジーにおいて大きな潜在性を秘めた改変対象である。当該シンポジウムでは最近の新たな改変技術アプローチの進展と、新時代を迎えつつある二つのオルガネラゲノム改変による応用展開について紹介する。

「自律複製型の葉緑体形質転換ベクター作製の試み」
      寺地徹(京都産業大学)

「植物オルガネラゲノム編集技術の開発」
      有村慎一(東京大学)

「ペプチドを利用した植物オルガネラ改変」
      沼田圭司(京都大学)

「葉緑体工学で創る『経口ワクチン植物』- 水産用ワクチンを例に -」
      中平洋一(茨城大学)

シンポジウム 5) 「新品種を導出する革新的な技術で目指す持続可能な社会」

主催:JST未来創造研究開発推進部

世界では工業材料や食料の需要が、現在よりも大幅に増加することが想定されている。その解決策として、各生物種を対象とした品種改良や育種、遺伝子・ゲノムの改変等が求められるが、新品種の導出に時間やコストを要することが課題となっている。
 そこで、JST未来社会創造事業では、植物における新品種を効率的に導出する革新的技術の確立を目指す研究開発を推進している。本シンポジウムでは、現在進行している4課題について紹介する。

「『社会の持続的発展を実現する新品種導出技術の確立』概要」
       國枝秀世(公益財団法人科学技術交流財団あいちシンクロトロン光センター / JST未来社会創造事業 運営統括)

「野生遺伝資源を活用したイネ科新奇食糧資源の開拓」
       佐藤豊(国立遺伝学研究所)

「分子ナノカーボン育種の実現に向けた実用的ナノカーボンの創製」
       伊丹健一郎(名古屋大学)

「作物と微生物叢を同時改良するホロゲノム選抜法の開発」
       岩田洋佳(東京大学)

「分子で実現する迅速育種技術」
      萩原伸也(理化学研究所)

 

Trilateral Symposium of Japan, China and Korea
Plant Biotechnology for our Future

Organized by the International Committee of Japanese Society for plant biotechnology

Plant biotechnology will play an indispensable role in our sustainable future. In this symposium, distinguished researchers from three countries will present their research results from basic to applied aspects.

“Opening Remark” 
Nozomu Koizumi, Osaka Prefecture University 

Chair: Toshiyuki Ohnishi, Shizuoka University

“CRISPR/Cas-mediated precision genome editing for rice improvement” 
Lanqin Xia, Institute of Crop Sciences Chinese Academy of Agricultural Sciences

“Metabolic engineering of toxin-free potatoes accumulating valuable steroids”
Masaharu Mizutani, Kobe University

“How cytokinin and sucrose control flowering time in rice”
Lae-Hyeon Cho, Pusan National University

Chair: Ning Wang, University of Tsukuba

“The iPB method as a versatile technique for genome editing in commercial crops”
Ryuji Miki, Haruyasu Hamada, Akira Endo, Agri-Bio Research Center, KANEKA CORPORATION

“Mechanisms underlying beneficial plant-microbe interactions”
Ertao Wang, CAS Center for Excellence in Molecular Plant Science

Chair: Seung Won Kang, University of Tsukuba

“Mutagenesis of Japanese cultivated gentian by ion beam irradiation and genome editing”
Mashahiro Nishihara, Iwate Biotechnology Research Center

“Rice productivity improvement by the utilization of differential senescence pattern of two subspecies, O. sativa L. ssp. japonica and indica.”
Sichul Lee, IBS Center for Plant Aging Research

 

7.ランチョンセミナー 「博士人材が活躍する多様なキャリアパス」

オーガナイザー:日本植物細胞分子生物学会 キャリア支援・男女共同参画委員会
代表者:柳川由紀(農業・食品産業技術総合研究機構)

アカデミアでの研究、留学を経て、現在は新境地で活躍する博士人材から、博士取得後のキャリアパスや現在の仕事内容、仕事と家事・育児の両立についてご講演いただきます。博士号を取得する意義の再確認や博士人材のキャリアパスの多様性について考える機会になればと思います。

「JST研究開発戦略センターによる戦略プロポーザル『ファイトケミカル生成原理の解明』のご紹介」
     桑原明日香 (科学技術振興機構研究開発戦略センター フェロー)

「研究成果のスピーディーな社会実装の先にあるもの」
        金鍾明 (アクプランタ株式会社CEO/東京大学大学院農学生命科学研究科特任 准教授)