第40回日本植物バイオテクノロジー学会大会・シンポジウム
お知らせ
第40回日本植物バイオテクノロジー学会(千葉[ハイブリッド])大会・シンポジウムを下記の通り、開催いたしました。
1.会期
2023年9月10日(日)~13日(水)
2.会場
千葉大学 西千葉キャンパス/オンライン
3.大会実行委員長
平井 優美(理化学研究所)
4.タイムテーブル
>>日程・プログラム(PDF:1.6MB)
5.PDF要旨集
>>要旨集(PDF:2.2MB)
6.シンポジウム
シンポジウム 1)
「オミックス情報 × AI による植物科学の新展開」
オーガナイザー:中村 保一(遺伝研)
AI 技術の開発・普及により,これまでに蓄積してきた植物科学分野の多様な情報を統合的に解析し,新規知見を高速に取得することが可能となりつつある.本シンポジウムでは,それらの最先端研究 事例や解析環境について紹介する.
「ゲノム・遺伝情報への AI 協働研究から見る「新機能」の進化」
赤木 剛士 (岡山大・院環境生命自然科学,JST-PRESTO)
「植物科学と育種ビッグデータの融合による新たな情報解析」
鐘ケ江 弘美 (農研機構 農情研)
「IoT/AI が拡げる次世代情報協働栽培の可能性」
峰野 博史 (静岡大学学術院情報学領域/グリーン科学技術研究所)
シンポジウム 2)
「難培養植物におけるゲノム編集 ABC」
オーガナイザー:七里 吉彦(森林研究・整備機構),安本 周平(大阪大学))
世界各地でゲノム編集技術を利用した作物の分子育種が精力的に進められている. 本シンポジウムでは,作物ごとに異なるゲノム編集にまつわるノウハウやコツを紹介し,今後の研究展開について議論する場としたい.
「はじめに」
七里 吉彦 (森林研究・整備機構)
「果樹のゲノム編集技術の確立に向けた課題」
西谷 千佳子 (農研機構)
「ユリにおける高効率形質転換系の開発とゲノム編集」
野水 利和 (新潟農総研アグリ・フーズバイオ研究部)
「野生イネ遺伝資源のゲノム編集」
佐藤 豊 (国立遺伝学研究所)
「ダイズのゲノム編集を実装するための工夫」
山田 哲也 (北海道大学大学院農学研究院)
「形質転換が難しいタマネギのキーポイント」
鴨井 享宏 (ハウス食品 G 本社(株)
「アブラナ科作物の核およびオルガネラ遺伝子の標的変異導入」
肥塚 信也 (玉川大農)
「体細胞胚形成を介したニンジンゲノム編集技術の確立」
廣瀬 文昭 (農研機構,日本たばこ産業)
「おわりに」
安本 周平 (大阪大学)
シンポジウム 3)
「花き研究のこれから」
宮原 平 (千葉大・院園芸学)
育種技術の発展により,近年の花きでは以前はイメージできなかったような色や形状の品種が手軽 に観賞できるようになった.本シンポジウムでは,将来開発される可能性のある花きの新しい形質 について,様々な研究技術を駆使して花き研究を行う若手研究者の最近の研究・育種例を紹介する. また,今後,研究者を志す学生のキャリアビジョンの参考となる場にしたい.
「タンパク質間相互作用を介したフラボノイド生合成酵素の活性調節機構」
和氣 駿之 (東北大・院工)
「アントシアニン液胞内凝集体形成による新規花色改変の可能性 」
出口 亜由美 (千葉大・院園芸学)
「園芸植物コスモス(Cosmos bipinnatus)の花色に関与するフラボンの構造」
上原 歩 (玉川大・農)
「GA および GA 合成阻害剤がペチュニアの花の複色模様形成に及ぼす影響」
東 未来 (日本大・生物資源科学部)
「民間企業の花の育種について」
磯部 知里 ((株)ミヨシ)
シンポジウム 4)
「転写因子研究の新展開」
庄司 翼 (富山大・和漢研/理研 CSRS),岩瀬 哲 (理研 CSRS)
転写因子は植物の発生・代謝・ストレス応答を司る鍵因子として機能している. 最近の研究動向と ともに,シングルセル技術や人工転写因子などの今後注目すべき方法論についてもカバーする.
「二次代謝を制御する転写因子 : 代謝制御の万能因子はあるのか? 」
庄司 翼 (富山大・和漢研,理研 CSRS)
「公共オミクスデータのメタ分析による転写因子の機能予測」
福島 敦史 (京都府大院・生命環境,理研 CSRS)
「非モデル生物のシングルセル解析から細胞リプログラミングの仕組みに迫る」
森中 初音 (理研 CSRS)
「植物の低温ストレスへの初期応答における転写制御機構 」
城所 聡 (東工大・生命理工学院)
「窒素応答を担う転写制御ネットワークの解明と応用展開」
柳澤 修一 (東京大・院農学生命科学)
「人工転写因子を用いた遺伝子発現制御」
世良 貴史 (岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学学域)
シンポジウム 5)
「植物ホストのモノ作り」
矢崎 一史 (京都大学生存圏研究所)
SDGs とバイオエコノミーが社会活動の中に大きな存在感を出してきている今,植物由来の有用物質には産業界も含めて熱い視線が注がれている.植物の生産する代謝産物は,臨床現場で利用される 高付加価値の二次代謝産物から,バイオマスの主成分であるセルロースやリグニンといったポリマー など多岐に及ぶ.さらに近年では,抗体やワクチンなど人の健康にコミットするタンパク質を,植 物をホストとして生産する技術も実用化されている.本シンポジウムでは,植物をホストとしたも のづくりを多面的に捉え,各界のリーダーから最新の話題をご提供いただき,本領域の将来展開を議論したい.
「はじめに」
矢崎 一史 (京都大学 生存圏研究所)
「ヤマブドウ細胞培養によるレスベラトロール生産開発と応用」
多葉田 誉 (北海道三井化学(株)
「ゲノム編集技術を活用した植物組織培養による有用ステロイド/トリテルペノ イドサポニンの生産 」
村中 俊哉 (阪大・院工・生物工学,阪大・先導的学際研究機構)
「ゼニゴケの実用化に向けて ー食用ゼニゴケと合成生物学プラットフォームー」
水谷 正治 (神戸大院・農)
「トチュウより得られるバイオマスポリマー」
中澤 慶久 (徳島大・生物資源産業)
「イネ培養細胞による組換えトランスフェリン生産プロセスの開発」
小原 一朗 (キリンホールディングス株式会社)
「植物バイオベンチャーのものづくり:再生医療分野製品の開発について」
結城 雅之(株式会社 UniBio)
「おわりに」
矢崎 一史(京都大学 生存圏研究所)
シンポジウム 6)
「プラズマ農業の最前線」
柳川 由紀(千葉大学 / 理化学研究所),坪山 祥子(東京理科大学)
プラズマはエネルギーの高い粒子を含む電離気体であり,物質の第四の状態として知られている. 近年,常温かつ常圧下で生成する大気圧低温プラズマを植物へ利用する「プラズマ農業」という新 しい分野が注目されている.本シンポジウムでは,植物研究者に加え,プラズマ工学を専門とする 研究者もお招きし,植物へのプラズマ利用について,最新の研究動向から将来的な利用可能性まで 含めて議論したい. 植物研究者とプラズマ工学研究者とが新たにタッグを組む機会になり,さらなる研究展開へとつながることを期待する.
「はじめに」
柳川 由紀 (千葉大学 / 理化学研究所)
「プラズマ農業のための新しい大気圧プラズマ装置の開発」
沖野 晃俊 (東工大・未来研)
「種子へのプラズマ照射による発芽促進に関する研究動向」
古閑 一憲 (九大・シス情)
「ソルガム種子への大気圧プラズマ照射による効果」
柳川 由紀 (千葉大・院園芸,理研 CSRS)
「ゼニゴケを用いて植物へのプラズマ照射効果の分子機構解明を目指す」
坪山 祥子 (東京理科大・創域理工・生命生物科学)
「水田での低温プラズマ処理が収獲にもたらす効果 」
石川 健治 (名古屋大学)
「大気圧空気プラズマ合成活性窒素種による植物免疫誘導」
金子 俊郎 (東北大・院工学)
「おわりに」
坪山 祥子 (東京理科大学)
7.ランチョンセミナー
「職場におけるメンタルヘルス~健全な産学官連携の発展に向けて~」
演題:孤独社会,「聴く」が支える職場のメンタルヘルス
演者:鬼頭 靖 (指導精神対話士,メンタルケア協会)
オーガナイザー:日本植物バイオテクノロジー学会 男女共同参画・キャリア支援委員会 (委員長 三浦 謙治,筑波大学)
内容:本学会はキャリア支援・男女共同参画の推進に取り組んでおります. その中で,日本人の 6 人に 1 人は孤独と言われており(OECD 調べ,21 か国中トップ),教育,研究,職場環境においても精神的な支えというものが重要となってきています. 若者の自殺,引きこもり,中高年のうつ,高齢者 の認知症など,孤独社会がその起因と考えられる状況が増加しています. 本ランチョンセミナーでは,精神対話士の鬼頭先生をお招きします. 精神対話士は人の心に寄り添い, 温かな対話を通して,「心を支える」日本初の心のケアの専門職です. 精神対話士の培った対話の知恵をもとに孤独社会と職場のメンタルヘルスについてご講演をいただく予定です. 前半は,孤独社 会について概観し,後半では職場の人間関係を良好にする傾聴についてお話することで,ご来場の 方の職場環境向上のヒントにつながれば幸甚です. また,本学会が推進しております産学官協力に 際しても,その立場の違いから気をつけるべきことも含めて議論できればと思います.
「遺伝子組換え作物の最前線」
演題:遺伝子組換え作物の最前線
演者: 熊谷 善敏,赤城 文 (バイテク情報普及会)
オーガナイザー:バイテク情報普及会
内容:私たちが食べている実用化された遺伝子組換え作物は,医薬品の薬事申請のように,安全性審査が行われていることはご存知ですか? 日本の政府機関に設置された専門家からなる委員会より審査・ 承認を経て,初めて輸入が可能となります. 本セミナーでは,バイテク企業の遺伝子組換え作物の開発・普及状況やその安全性審査について, また,この 4 月から新しくなった遺伝子組換えの表示などを紹介します. あわせて,授業や講演に 使える遺伝子組換え作物の資料や映画もご紹介します. 本セミナーを担当するバイテク情報普及会は,持続可能な農業の実現や食料の安定供給への貢献を念頭に,サイエンスベースで透明性ある許認可システムの構築を支援するための活動やバイオテクノロジーの重要性を伝える広報活動を行っています.